ABC座2013ジャニーズ伝説を見ておじいちゃんの遺産相続の話を思い出した(2013/10/19・13:00~・日生劇場)

※舞台の内容のネタバレを含みます

先日、東京の方にいる従兄弟と集まってご飯を食べているときに、おじいちゃんの遺産相続の話になりました。
別におじいちゃん全然ピンピンしてるんですけど、何ヶ月か前に突然従兄弟のお兄ちゃんに「俺が死んだら遺産をどう分けようか」って相談してきたそうです。
まぁ冗談交じりな言い方だったので、お兄ちゃんもあまり真剣に捉えず適当に話を合わせたそうなのですが、後から思い返して「もうじいちゃんもそんな歳になったのか……」としんみりしてしまったそうです。

今日、日生劇場でABC座を観てきました。
観ている途中で、従兄弟のお兄ちゃんから聞いたその話を思い出して、なんだかとても悲しくなってしまいました。

ジャニーズ事務所の社長、ジャニー喜多川さんは、今年で82歳になります。
昨年の「Johnny's world」を観てから、わたしはずっと悲しかった。何だかジャニーさんが死ぬ前の身辺整理をしているように見えてしまって。
事務所の歴史を纏めたっていうストーリーがまずもうあれれ?って感じだったし、それに合わせて今まで一度も出演したことがなかったテレビのインタビューに答えてみたり(NHKワールドTVという日本ではライブストリーミングでしか見られない番組で、かつ首から下のみの出演だったけれど)。わたしはこれからもずっとジャニーさんが作る「歴史」のページが更新され続けていくのを見ていたいのに、ジャニーさんはもしかしてもう「歴史」を更新するつもりはないんじゃないのかな、あとの余生はこの50年間ひたすら更新し続けた壮大な「歴史長編」を繰り返し繰り返し読み返して懐かしい幸せな思い出に浸るだけなんじゃないのかな、なんて考え始めたら止まらなくなってしまった。

更に最近ではファンから見ても露骨すぎるくらい露骨に事務所の実権が真っ二つになってしまったり、聖の件もこれまでのジャニーズとは何か違う雰囲気を感じてしまったし、とにかく不安なことしかなかった。

わたし、ジャニーさんは社長だけど「ジャニーズ帝国」の“王様”ではなくて“象徴”だと思ってるんですよ。神様とか天皇とかよく分からないけどそっち系。多分、彼に備わっているのはトクベツ秀でたビジネスセンスではなくて、圧倒的なカリスマ性と「ショービズが好き」っていう子どもみたいなピュアな心。だから、もしジャニーさんがいつかこの世からいなくなる時が来たら、その時はジャニーズ事務所も終わってしまうだろうなと思っていた。ビジネスのノウハウだったらマニュアル書作って二代目社長やその周りのブレーンたちに叩き込めば何とでもなると思うんだけど、そうじゃないもっと奥底のジャニーさんの信念はジャニーさんにしか分からない、ジャニーさんにしか備わっていないものだと思っていたから。
だから、昨年の冬からすっごく寂しかったんです。


で、今日観てきたABC座も、過去の思い出を反芻するような内容でした。

ストーリーをざっくり書くと、1幕は文字通りジャニーズ事務所一発目のアイドルグループ「ジャニーズ」のデビューから解散までのお話。
一流のスターを目指して日々公園で歌とダンスの練習をしているあおい輝彦(橋本良亮)・飯野おさみ(五関晃一)・真家ひろみ塚田僚一)・中谷良(河合郁人)の4人。彼らが雨の日の公園で仲良くなった全盲の少年・ミズキ(井上瑞稀)は、4人はきっと世界に羽ばたくスターになるよ!と期待する。ある日、ミズキの兄・フタツキ(戸塚祥太)から「ミズキは全盲で、命もそんなに長くない」と聞かされた4人は、ミズキのため、また自分たちの殻を破るためにもアメリカに行き、本場のショービジネスを学ぶ決意をする。

アメリカで4人は様々な偉人と出会う。ブロードウェイの作曲家チャールズ・ストラウス。「ホワイト・クリスマス」で有名な歌手ビング・クロスビー。「悲しき雨音」の作曲家バリー・ディボーゾン。マイケルジャクソン「BEAT IT」の振付師マイケル・ピータースなどなど。
特にバリーは4人のために新曲「Never my love」を作曲してくれた。これで全米デビューだ!と盛り上がる4人。しかし、そんな彼らの元に日本から電報が届く。「日本でのスケジュールがいっぱいだから帰国してくれ」。まだアメリカにいたい、修行をしたいとごねる4人だったが、日本にも自分たちのファンはたくさんいる、ファンの気持ちを裏切ることは出来ないと志半ばにして帰国することになる。

帰国し、歌番組の収録や雑誌の取材などを忙しくこなしていたある日、楽屋でつけていたラジオからよく知った曲が聴こえてくる。「Never my love」。でも、歌っているのはジャニーズではない。緊急帰国したせいで宙に浮いていた曲が、アソシエイションという別のグループに歌われリリースされてしまったのだった。

自分たちの決断は間違いではなかった、だけどもうこれ以上ジャニーズを続けることは出来ない。この一件を機に、4人はジャニーズを解散することを決める。4人の未来のための解散。
ジャニーズとしての最後の仕事は、日生劇場でのオリジナル舞台『いつかどこかで~フォーリーブス物語』。この舞台を観劇中、ミズキは静かに息を引き取った。


2幕は一変して歌とダンスがメインのショータイムのような感じ。
ジャニーズが解散したあともジャニーズ事務所からはたくさんの偉大なアイドルが生まれた、ということで、特に『いつかどこかで~フォーリーブス物語』から名前を引き継いだフォーリーブス、そしてショービジネスというコンセプトをガッツリ引き継いだ少年隊。この2グループの当時の映像を背景に流しながら、えびやJr.がオリジナルの振付(一部変更有り)でパフォーマンスするというもの。
少年隊のターンが終わってからは、合間にはっしーがえびに入った経緯や当時の苦悩などを芝居で挟みつつ、えびの曲を数曲。最後に新曲と、えびがカバーして歌い継ぐことになった「Never my love」を歌って終わり、という流れでした。


とにかく1幕が悲しくて悲しくて仕方がなかった。
可愛い可愛いみじゅきが全盲の少年(しかも死ぬ)っていう設定も儚すぎるし、ジャニーズが歩んだ運命も仕方のないことだけど悲しい。ナレーション役として何とあおい輝彦さん本人が声だけの出演をしてくれているんだけど、その落ち着いた大人な声にもなんだかぐっときてしまったし、っていう、舞台そのものだけで切なかったのに、上記したジャニーさんの身辺整理について思い出してしまって。

ジャニーさんは元々「プロデューサーは裏方だから表舞台に立ってはいけない、だから自分はメディアに姿を現さない」って考えを徹底していた人だったのに、その考えを覆してまでNHKワールドTVに出演したのは、事務所のお偉いさんたちやタレントだけじゃなく、事務所を応援しているファン、引いては日本の、世界の芸能界全体に「ジャニー喜多川とはどういう人物か」「ジャニーズ事務所とはどうあるべきか」を共有して欲しいからじゃないのかなって思ったんです。
ジャニーさんの信念はビジネススキルみたいに簡単に引き継げるものじゃない。だから、少しでも多くの人に自分の考えを伝えておく。そうすることで自分が死んだあともジャニーズ事務所が存続し続ける可能性が上がるんじゃないかって考えたのかなって。

逆に、ジャニーさんがわたしたちに伝えたいことを全部伝え終わったら、その時がジャニーさんの最期ってことなのかなぁなんて考えて。
今回の「never my love」も「こんなにいい曲がお蔵入りしてしまったんだぞ、この曲は本当はジャニーズのものだったんだぞ」っていうのをどうしても生きてるうちに言いたい!っていう意地というかこだわりをすごく感じて、これでまたひとつジャニーさんが「これをやるまでは死ねない」って思ってたことが無くなっちゃったのかな……と思うと悲しすぎて、1幕中ずっとお通夜モードだったんです。


でも、2幕でフォーリーブス→少年隊→A.B.C-Zって繋げてくれたことで、悲しい気持ちが少し払拭された。
ジャニーズが出来なかったことをフォーリーブスがやって、フォーリーブスが出来なかったことを少年隊がやって、そしてえびやJr.がそういう偉大な先人たちの意思を受け継ごうとしているんだな、受け継いでなおかつそれを発展させていこうっていう覚悟があるんだな、と思うことができたから。えびの真摯なパフォーマンスを観ていたら、この人たちは「伝統を受け継いでいくこと」がどういうことであるかをちゃんと理解しているんだろうなぁって思うことができたから。



ほんとに、今ジャニーズは色んな側面で過渡期を迎えていると思います。
マジで楽観視とかできない。一寸先は闇っていうか。ひとつの芸能事務所を半世紀以上続けることってすっごく大変なんだろうなぁって、最近すごく考える。
でも、裏を返せば50年分の先人の歴史があるんです。日本の芸能史を引っ張り続けてきた偉大なスターたちの歴史が。こんな芸能事務所、他にはなかなかないよね。
ジャニーズってやっぱり凄い!!!これからもずっと続いて欲しい!!!!
改めてそう感じた舞台でした。

今日は収録用のカメラもたくさん入っていたみたいだから、映像化も楽しみです。



ここから下は気になったJr.中心のあんなとこそんなとこメモです。

<1幕>
・みじゅきの目に光がなさすぎる…こんなレ○プ目初めて見た……と思って観ていたら、フタツキさん(これ金田くんの時はなんていう役名になってるんだろう笑)から「ミズキは目が見えなくて…」って聞かされてナルホド!と思った。ほんとに一目見て違和感を感じるオーラを放っていたので、こんなに演じ分けることが出来るなんてほんとうにこの子は凄い!!と思いました。あと背が伸びてた。
・斗希、痩せた?(笑)最後に見たのがいつだったか覚えてないんだけど、なんか久しぶりに見たらすごくシュッとしてた! 1幕のニューヨークの街並みでギャルソンみたいな格好して出てくるんだけど、それが凄く似合っていてかっこよかったです。なので比較的今回は斗希ばっかり見てました。
・犬役の嘉孝のシュールさがヤバイ。無表情で手綱引いてる森継くん込みでヤバイ。
・執事の格好で犬の紐を引く森継くん(オプション無表情)がマジで少コミに出てくる「ドSだけど二人きりになるとたまに優しい執事様」だったので小○館ははやく森継くんに少コミ実写のお仕事を持ってきてください!!
・あと、岩橋くんが全体的にすごくダンスが上手になったなぁと思った。無駄な動きがなくなったというか。なんか表情もちょっと余裕がある感じになってて、かっこよかったです。
・宮近くんはソロダンスが多くて圧巻だったなぁ。ジャニワのときも思ったけど、すごく情感が篭った振付を澄ました顔で踊ってるのが面白いよね。まだテクニックで何とかなってるっていうか、今以上のレベルに到達しよう!って思ったときにどういう変化を加えてくるのか気になる。
・なべしょと佐久間くんの「なんとなく・なんとなく」うわああああああ!!!!!非常にイイです!!!!!
・なんか、Jr.がこういうポジションで歌うってとてもわたしの中で新感覚でした。でもえびさんの舞台っていつもJr.をしっかり立たせてくれるイメージがあるから、なるほどなぁと思ったり。あ~でもかっこよかったな。後ろのコーラス隊(足の動きバラバラwww)と、真ん中で笑顔でタンバリン叩いてる岩橋くんも可愛かったです。
・みじゅきが死んじゃうシーンでリアルに涙腺崩壊した。歌も凄く上手だった……。


<2幕>
・2幕は一人でひたすら斗希のささやかな口ずさみを見守る会を開催していました。まったく口ずさまないか、物凄い大きく口開けて歌っちゃうかっていうJr.しかあんまり見てこなかったから、斗希の「なんか踊ってると自然に口ずさんじゃうんです~」的な感じが凄い可愛かった。歌ってない曲もあったから、歌ってる曲の方がお気に入りなのかなとか思ったり。わたしの中のちょっとした新発見でした。カワイイ。
・1幕でドS執事っぷりを見せつけた森継くんですが、サマリー楽屋シーンではえびとなべしょの芝居に屈託ない笑顔で笑ったりしていてこの…落としてから上げる感じ…こりゃ少コミですわ…わたししか知らない彼の笑顔♡ですわ…。
・「急げ若者」すっごい好きな曲なので、夏の「少年たち」に続き歌われていて嬉しいです。しかし確か「少年たち」では「あいつはとてもいい奴だったと~」っていう1番の歌詞を歌ってた気がするんだけど、今回はいきなり2番の「若者なら 死んだあとで あいつのあとにつづいてゆこうと 言われてみたい」だったよね?? なんか歌詞がまたジャニーさんの死んだあとに誰が続くんだろう…とか考えて(以下略)ところでこれなんとカウアンのソロでバックに残りのJr.が着くんだけど、なかなか甘い歌声で素敵でした。
・少 年 隊 の タ ー ン の カ ズ キ ヨ ( 映 像 ) が か っ こ よ す ぎ
・ワンステップビヨンドとOH!とか少年隊の中でも好きで知ってる曲がいくつかあったのでより楽しく観れました。OH!ははっしーのソロだったんだけど、はっしーの声と歌詞が合っててきゅんとした。
・バニラで塚ちゃんと河合くんに怒られて「俺だって好きでえびに入ったわけじゃない!」って五関くんに当たるはっしー。昔は大変だった~ってよく聞く話だけど本人たちに再現VTRされるとなんかより生々しいというか。どういう気持ちでここ演じてるのかなぁ。戸塚くんとはっしーの距離感が近すぎず遠すぎずで良いなと思いました。
・ずっとLOVE、ちょっとアレンジしてあってはっしーと戸塚くんの歌い方が良かった。なんか不思議な巨大セットの中を登ったり降りたりするえびさんたち。他のファンの方のブログに「立体駐車場みたいなセット」って書いてあってソレダー!でした。
・バッドマンのJr.のマント衣装可愛い。ドラキュラ!ハロウィン近いしぴったり。
・クレアクの腰突き上げるとこの斗希の顔と腰がとても面白かったです。その後上半身のけぞらせる振りがあるんだけど凄いのけぞってて身体が柔らかいのかなぁと思った…ってほんとうに斗希しか見てないな……。嘉孝とかどんな風に踊ってたのか見ておきたかったけど逆サイだったから無理でした~。
・えびの新曲その2。5つの滑車に一人ずつ入ってハムちゃんずします。5starの大車輪みたいなインパクトはないけど、回転が揃うとなかなか圧巻。最後はJr.が客席に背中向けて回すの手伝ってくれるから、黒タンクに黒手袋はめたJr.の背中の筋肉が堪能できてとても良い。
・最後は「Never my love」のえびバージョンを歌って終わり。
・Jr.もひとりひとり自己紹介させてもらってるの知らなくて興奮しました! 無所から急にスピードアップするスタンドマイクでの自己紹介、サマリーを思い出す。みじゅきだけはスノーマンの誰かが名前を呼んでお辞儀するだけだったかな。ヒロミと石垣くん、ギターの小川も紹介しておしまい。