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伝説の戦士


山元竜一というのは歴代のてれび戦士の中でも特殊な人で、98年〜03年まで6年間てれび戦士を務めてきました。これは放送開始から今まで100人以上いるてれび戦士の中でも最長記録で、もうこの記録が塗り替えられることはないんだろうなあと思います。

山ちゃんに関してもうひとつ異例なことは、同い年の男子戦士が極端に少ないという点です。6年間を通して見ても、2000年度の松下博昭(まっつん)しかいません。そしてそのまっつんも2000年度のみの1年戦士でした。
そもそも芸能界に89年生まれが少ないという理由は、もちろんあると思います。今活躍している俳優さんたちを見てもそれは明らかです。でも、もっと意図的に、大人の都合で山ちゃんと同世代の戦士を入れなかったっていう理由も大いにあると思うんです。山ちゃんはその世代の圧倒的スターでなくてはならなかったから、同世代のライバルになるような戦士は入ってきてはいけなかった。

もちろん、これはいちオタクの推測にすぎません。でも、もしほんの少しでもそういった理由があるのだとしたら、山ちゃんは随分孤独なヒーローだったんだなあと思います。


そんな中、03年度になってから、02年度はあまり絡んでいた印象のなかったマイケルと山ちゃんの関係がちょっと変化するんですね。当時の映像が残っていないのではっきりとした放送日は分からないんですけど、たぶん1学期だったと思います。スタジオトーク中にマイケルがいきなり「実は…山元竜一くん、初めて見た時からずっと好きでした!付き合って下さい!」と謎の告白をしたんです。脈絡も伏線も何もない、本当に突然の告白でした。スタジオポカーン、司会のTIMは大爆笑、当の山ちゃんは困惑。元々天然で突拍子もないことを言う子だったんですけど、これは突拍子もなさすぎた。この後マイケル→山ちゃんラブなよく分からない同じ人設定はどんどん発展していき、二学期にはド・ランクザン望が「僕のほうが山ちゃんのこと好きだし〜」と割り込んできてよく分からない三角関係になったりしていました、確か。今思い出してもよく分からない…マイケルって一体何だったんだろう…という迷エピソードです。

でも、その辺りから私には山ちゃんが「背負っていたもの」を徐々に下ろしていったように見えました。6年かけて積み上げてきた、スターであること・人気戦士であることのプレッシャー、大人の期待、周囲の人の目、孤独感。それに加えて03年度は「最年長」で「リーダー」という責任もありました。山ちゃんは強い子だから、それらを誰にも言わずに自分ひとりで抱えていたんだと思います。中2で卒業するまで、ずっとひとりで背負い続けていこうとしていたんだと思います。でもマイケルがそうさせなかった。マイケルのあの謎の一言で、そしてそれ以降執拗なまでに山ちゃんにべたべたし出したマイケルのお陰で、徐々に山ちゃんの表情が柔らかくなっていったような気がしています。

結局、山ちゃんは「背負っていたもの」を完璧に下ろすことはしませんでした。最後まで彼はあくまで孤独なスターとして存在し続け、そして卒業すると同時にすぱっと芸能界から足を洗ってしまった。これは同じように長いこと中心人物として活躍してきた女子戦士の村田ちひろもそうです。芸能界が嫌だったとかじゃなくて、単に燃え尽きたんだろうなと思います。他の戦士は「子役」の通過点として「てれび戦士」を経験するけれど、山ちゃんやちーちゃんは始めから子役ではなく「てれび戦士」としてだけブラウン管の中に存在していたのでしょう。


でも、03年度、戦士として最後の年に、山ちゃんは自分の背負っているものは下したりまた背負ったりできるものなんだということに気付きました。マイケルが、気付かせてくれた。ささいな変化かもしれませんが、そこに気付けるのと気付けないのとでは天と地ほどの差があったんじゃないかと、私は思っています。



そんなふたりの、最初で最後の共演が「旅人は星を数える」でした。現実世界に旅立つマイケル。そんな成長したマイケルを
見つめる、山ちゃんの視線。03年度全体のふたりの関係を思ってからこのMVを見ると、すわ洪水かと思うくらい涙が出ます。


結局、マイケルと山ちゃんは03年度をもって共に卒業していきました。マイケルは自分の意思で卒業したと、後から本人のブログで語っています。もうふたりは一般人だから(いや、マイケルは一応モデル業もやってるのかな?)、当時のことを聞くことはできません。ていうか、ブログでマイケルに当時の思い出を聞いてる人がいたけど、「なんかよく覚えてないんだよね(笑)」のひとことで片付けられていました。濁したいとか忘れたいとかじゃなくて、本当に覚えてないんだろうな…マイケルって凄く天然で不思議ちゃんでアホの子です…。


だから、以上のことは全て私の妄想です。事実はふたりが一緒にMTKを歌ったってことと、マイケルの謎の告白だけです。でも、おたくは妄想する生き物だし、思い出は美化されるものです。これからも私は山ちゃんを思い出す時、絶対に2003年度の山ちゃんをいちばんに思い出すんだと思います。かっこよくて、頼りがいがあって、でも徐々に表情が柔らかくなっていったリーダーの山ちゃんを。そしてその隣で、ぽやぽやヘラヘラしていた、美少女のごときマイケルのことを、絶対に忘れません。