V6、40枚目のシングル『kEEP oN.』がとても素晴らしい件

前回の記事にスターありがとうございます。
ジャニヲタが書く文章大好きなので、この夏も色んな方の現場の感想を文字にして語るの楽しみにしてますよヾ(@⌒ー⌒@)ノ
思わず顔文字を使ってしまうほど!


さてさて、やっとV6の新曲『kEEP oN.』を購入しました〜!
TBS「王様のブランチ」にて「超変態作」と称された、記念すべき40枚目の問題作(?)シングルです。
6分6秒という曲の長さはもとより、1曲の中にバラード・エレクトロ・ラップ・ファンク・オペラなど様々な音楽要素が詰め込まれているという点、それをジャニーズのアイドルが歌うという点、これだけでも充分新しい試みですが、何より今回のシングルに関して私が良いな、と思ったのは、V6本人たち、また製作の西寺郷太さん&corin.さん(にしこりコンビ)による「制作秘話」のようなものが色んな媒体で多く語られたことでした。
というわけで今回は、西寺さんのツイッターアカウント(@Gota_NonaReeves)、ナタリーPower Push「6人と6分6秒の旅に出よう 西寺郷太&corin.インタビュー」、そしてアイドル雑誌『POTATO』2012年9月号のインタビュー「V6 keep on smiling!!坂本昌行×三宅健」という3つの媒体での彼らの発言を参考にしながら、私なりの『kEEP oN.』感想を書いてみたいと思います。

POTATO (ポテト) 2012年 09月号 [雑誌]

POTATO (ポテト) 2012年 09月号 [雑誌]

制作のきっかけについて

まず、何故この曲が作られたのかということについて、『POTATO』で坂本くんと三宅くんがこのように語っています。

三宅「キリの良い40枚目ということでおもしろいことをやりたかったんだよね。ほかの人たちがやっていないこと、というところから3〜4曲分は作れそうなくらい、いろんなメロディを合体させたような曲になって。」
坂本「前作、前々作と新しいV6をお届けできたので、もう一回なんかやっちゃえ!と。(略)歌い手と作り手がこれだけ思いっ切り遊んでる楽曲ってそうないからね。」

また、ナタリーのインタビューでは「ほかの人たちがやっていないこと」という部分を更に具体的ににしこりコンビが語っています。

郷太 ミーティングの中で僕らが最初に理想図として描いたのは、QUEENの「Bohemian Rhapsody」とか、THE BEATLESの「A Day In The Life」とか、THE BEACH BOYSの「Heroes And Villians」とか、1曲の中で目まぐるしく展開していくような曲。個人的にはやっぱりキレのある群舞がV6最大の魅力だと思ってるんで、さっき挙げたようなクラシカルなロックのエッセンスを持たせつつも、プリンスの「Batdance」が持つ摩訶不思議なダンサブルさは絶対条件だと主張しましたね。それと、もうひとつの要素として少年隊から継承されるようなジャニーズソング、ミュージカルの伝統、生ストリングスやホーンセクションのおいしさみたいなものがミックスされた作品になれば最高だなと思ってました。その全部を表現できるのは、V6しかいないんで。

私自身洋楽に詳しくないのでクイーンとかビートルズとかビーチボーイズとか言われても正直ピンと来ないのですが、ただ目まぐるしく展開していく洋楽の猿真似ではなく、そこに「ジャニーズらしさ」と「V6らしさ」をプラスすることで、今のV6にしか歌いこなせない、唯一無二の曲になったということは分かります。郷太くんのインタビューではこのへんも興味深かった。

郷太 だから俺たち最初に訊いたんだよね、「予算いくらかけられますか」って(笑)。元々「長さは大丈夫」「常識をギリギリまで壊していい」とは言われてたから、こっちもプロとして現実的な質問をしたんです。そしたら「いくらでもかけていい」「どんな歌詞書いてもいい」って、スタッフが制限を取っ払ってくれたんですね。これが今回本当にうれしかったことです。

「予算はいくらかけてもいい」これは今年で事務所創立50周年、社長がギネス記録を持ち、芸能界でも一定の地位を築けているジャニーズのアイドルだからこそというところはあるんじゃないかな。そして、スタッフからのこの言葉があったお蔭で、バンド陣もこだわって選ぶことができた、とも郷太くんは語っています。特にツイッターでのこの発言が面白かった。

西寺郷太 ‏@Gota_NonaReeves
「キーポン」ブラスアレンジ、演奏の山本拓夫さんは、実際岡村靖幸さんもノーナも担当されてる「本物」ですし\(^o^)/。 RT 岡村さんにもこの前呑んだ時オマージュだと伝えました! RT 「ブラスバンド!」に岡村ちゃんの「あのロン」を思い出したのは私だけでしょうかw

曲中に長野くんが「ブラスバンド!」と叫ぶ部分があるのですが、それが岡村靖幸の『あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう』に似ている」というファンからの言及に対しての答え。岡村ちゃん本人にもオマージュと伝えているし、演奏をしてくれた方も「本物」だと。実際にこういう演奏家さんにかけるお金がどのくらいかかるのかは予想もつきませんが、予算的に「どこまでも大丈夫」と言われていたことで、こういう遊び心もチープなパクりで終わるのではなく、本人公認の「オマージュ」として高い質を保てたのではないかなと思います。

曲の構成と歌詞の世界観について

さて、次は曲の構成について。出だしは井ノ原くんのソロバラードから始まります。その後、岡田くんのソロ、そして三宅くんの「Let's keep on!」という掛け声で、アップテンポなダンスナンバーに。Aメロは剛くん→長野くんの順、そして剛健によるわちゃわちゃラップパート、サビは坂本くんを中心に全員で「keep on dancing」と歌う、いわゆるサビのパート。そして長野くんによる岡村ちゃん風の掛け声からミディアムテンポの岡田くんソロ(ここは歌詞やメロディの感じが凄く岡村ちゃんっぽくて、郷太くんも「岡田ちゃんパート」と呼んでいるそう笑)。その後もう一度サビがあって(でもここも伴奏の感じが1回目のサビと全然違う!)、伝説の坂本くんソロ・オペラパート。そしてニコ動だったら「謎の感動」とタグ付けされそうなくらい壮大なブラスに合わせて6人全員で「ラララ〜」と大合唱、からの最後のサビ。そして一番最後はまた井ノ原くんのゆっくりしたソロ(フォークギター付き)で締め。
……と書くだけで如何にこの曲が壮大な曲なのかということが分かると思うんですが(笑)。
更に面白いのは、これだけしっちゃかめっちゃかな曲なのに、歌詞に一貫したストーリーがあるということなんですね。

歌詞を見ながら改めてストーリーを追ってみると、タイムマシンに乗って過去の自分に会いに行く主人公。過去の自分は“他人の視線ばっか気にしてる”“空気読んだふりの優等生”で、好きな女の子がいるんだけどその子にも「高嶺の花だ」「どうせ無理そうだ」と消極的。そんな過去の自分に向けての主人公の助言は「好みの娘を見つけたら/最後まで誘いな、坊主!」酸いも甘いも経験した大人のおっさんが、初恋のあの娘にイマイチ勇気が出せない中学生の頃の自分に向けてアドバイスをしに行っているようなイメージを受けました。最年長が41歳、最年少が32歳の「大人の」V6だからこそ歌える曲。そして、「学校へ行こう!」で長いこと学生と関係を築いてきたV6だからこそ歌える曲なのかなぁとも思いました。「いいじゃんいいじゃん、放課後デートしようって誘っちゃえよ!」「勇気出せよ、男だろ?!」って井ノ原くんとか剛くんが屋上で中学生の男の子に言ってるシーン(@未成年の主張)が、目に浮かぶようです。そう思って聴くと、サビの「keep on dancing」もだんだん「keep on 男子」に聴こえてくる。「男なら、諦めずに女の子を誘い続けろよ!」みたいな。ジャニーズはアイドルなので、やっぱりファンのほとんどが女性で、コンサート会場にも女性が多い。でも、V6のコンサートはMCで井ノ原くんが必ず「男性のお客さんも盛り上がってるかー?!」って聞いてくれて、それで男性が声張り上げて「イェーイ!」って言うんですよ。同性に支持されているというのは本人たちのモチベーションにもつながるだろうし、コンサートに来てくれている男子中高生のV6ファンが、この曲を聴いて勇気づけられるといいなと思いました。

で、このメッセージは何も恋愛事に限った話ではないですよね。
『POTATO』で三宅さんは以下のように語っています。

三宅「『kEEP oN.』=何かをやり続ける、というテーマで、タイムスリップして小さかった頃の自分に、「そのまま続けていけば、絶対に大丈夫だよ」って励ましに行くという設定で。」

恋愛に限らず、何かひとつのことをやり続けたら結果は必ず付いてくる。これがこの『kEEP oN.』に込められたV6からのメッセージです。これもまた、今のV6だからこそ歌える曲なんだろうなぁと思いました。「続けることの大切さ」それを、V6は「デビューから17年、メンバーが一人も欠けず、長期活動休止なども無く、コンスタントにアイドル活動を続ける」ことで身をもって証明してくれているからです。

V6は、たまに「楽曲に統一性のないアイドル」という評価を受けることがあります。デビュー曲の「Music for the people」はバリバリのユーロビート。しかし「愛なんだ」からは王道のアイドルソングに路線変更して、その後もNHK「みんなのうた」で使われるくらい世代を超えて愛されるJPOP「WAになって踊ろう」、本人たち主演の映画の主題歌にもなった激しめな「Hard Luck Hero」、ガチバラードの「way of life」、大人の男性の恋愛を描いた「蝶」「GUILTY」「only dreaming」、そして郷太くんとタッグを組んだ「sexy,honey,bunny!」と、歴代のシングルを見てみるだけでも清々しいくらいに統一性皆無です。でも、それが悪いことだとは私は全く思いません。なぜなら、毎回毎回本人たちが与えられた楽曲に真摯に向き合って、今の自分たちが出来る最大限の努力をしてその曲をパフォーマンスしてくれるからです。
そして、その「与えられたものは何でもやる」姿勢は、20th centuryの3人(特に坂本くんと長野くん)のJr.時代の境遇から来ているのではないのかな、とも思います。坂本くんと長野くんは、当時なかなかデビューすることができず、一度事務所を止めたり芸能活動を休止したりしていたこともあります。今でこそ、20代後半でデビューするJr.がいてもおかしくない時代になりましたが、当時はアイドルの旬といえば10代半ば。今のようにコンスタントにJr.に仕事があるわけでもなく、このまま事務所に居続けるには、文字通り「与えられた仕事は何でもやる」ようにしないと生きていけなかったのだろうなと思います。そしてそのとおり、トニセンの3人は少年隊の付き人などスタッフのような仕事も真剣にこなして、やっとデビューできたのです。彼らが「仮にもアイドルなのに、何でこんなこと」と思ったこと、一度や二度じゃないと思います。デビューしてからも、辛い仕事がいっぱいあったと思います。でも、そういう仕事をひとつひとつこなしていくことの大切さを、トニセンは分かっている。こなさないと次がないことを分かっている。そして、そんなトニセンの背中を見ながら育ったcoming centuryの3人もまた、「与えられたことは何でもやる」姿勢を身につけていったのかなぁと思います。「拘りやプライドは無いのか」と思う人もいるかも知れません。ちょっと反抗してるほうがかっこいいと思う人もいるでしょう。でも、本当にかっこいいのは、V6みたいに与えられたことを文句も言わずに黙々とこなす人なんじゃないかな、と私は思います。そして、そういう姿勢を17年間続けてきたことで、彼らは今『kEEP oN.』という超大作を歌いこなせるようになっているんです。超かっこいい!
ということで、『kEEP oN.』は彼らからこの曲を聴く人への応援歌であると同時に、彼ら自身の歴史を歌った歌なんじゃないかなぁとも思っています。

V6の進化とは

さて、ここまで長々と語ってきましたが、最後に最近のV6について。
そもそもアイドルとは「成長を楽しむ」ものだと私は思っています。例えばジャニーズJr.時代から応援してる子が、最初は後ろの方でお揃いの衣装を着て埋もれながらダンスを踊っていたのに、だんだん前に出てきて、歌番組やコンサートでマイクを持てるようになって、デビューして、アリーナツアーができるようになって、ドームツアーができるようになって、スタジアムでできるようになって……と、だんだんと大きくなっていく過程を見るのが楽しいんじゃないのかなって。でも、ある程度大きくなってしまうと、成長の幅がなくなってしまう。ここ数年のV6も、年に1回のアリーナツアーは出来るし、バックダンサー無しで6人のみでステージを作ることも出来るようになってたけれど、そこで何となく停滞している感じがしていました。
だから、今後もV6が活動を続けていくためには、成長ではなく創造と破壊を繰り返すことで変化を見せないといけないのかなと。例えば、昨年は「陽」の雰囲気のコンサートをやったから、今年は「陰」で、みたいな感じですね。イメージを上書きしていくというよりは、昨年作り上げたイメージを壊してまた新しいイメージを作る、みたいな感じで。それでも彼らの表現力があれば充分楽しかったし、そんな感じでこれからも続けていくのかなぁと思っていました。
でも、彼らはまだ成長を続けることを選びました。「制作に関わる」っていう成長ですね。「与えられたことは何でもやる」職人気質のV6には、それ故に自己主張する人がいなくて、これまでも積極的に自分で歌詞を書いたり制作に携わることはありませんでした。だから、制作にダイレクトに関わっていくという判断は、すごく勇気がいることだっただろうなと思います。それでも彼らは制作に関わるという「成長」を選び、これだけの傑作を生み出しました。凄いことだなぁと思うし、また一つ私が「V6にできないことはない!」と胸を張って言える要素が増えました。


郷太くんがナタリー特集の最後にも言っていましたが、この『kEEP oN.』を含む近年のV6の曲を集めたアルバムを今凄く聴きたいし、テレビサイズではフルでパフォーマンスを見ることができないから早くコンサートでフルで見てみたいし、今後のV6に期待しかありません!
これまで応援してきて良かった、と思えたシングルだし、これからもV6兄さんについて行きます!と思えたシングルでした。『kEEP oN.』、まだ聴いてない人は、是非!!オススメです。