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財前光くんと彼にまつわる色んな人のこと(後編)

テニミュ

よかったらこちらを先にお読みください。
財前光くんと彼にまつわる色んな人のこと(前編) - 箱庭

さて、そんなわけで財前くんの夏はなんとも苦い感じで終わってしまいました。
このあたりの行間がなんていうかとても少女マンガっぽくてですね、ファンの間では財前くんと謙也さんの組み合わせが人気で、まぁ人気の理由も充分わかるわ!って感じなんですけども。
でも、今回のミュージカルでわたしがぐっときたのは、四天宝寺の部長である白石くんと財前くんの関係だったんですね。決してぼーいずらぶ的なアレではなくてですね、もっと単純に、ああ財前くんって白石くんのことこういう風に思ってるんだ、白石くんには財前くんがこういう風に見えてたんだ、っていう話です。この二人の関係なんて今まで考えたこともなかったので、目からウロコでした。

また具体的に書いていきます。

3月1日ソワレの日替わりネタ*1で、財前くんが以下のようなことを言いました。ざっくりとしか覚えてないので、語尾とか言い回しは違うかも知れないですが。

オサム「財前はほんまにツンデレやなぁ」
財前「…俺も好きでこんな性格なんじゃないっすわ。せやけど、前に白石部長が…本人は覚えてへんかも知れへんけど、こんな俺に対して『不協和音でええ』って言ってくれて。謙也さんもなんだかんだで構ってくるし、他の人も何が楽しいのかいつもニコニコニコニコ話しかけてきて…あ、オサムちゃんもやで。そういうの、ほんまうっとおしいけど…一度しか言わんで、ありがとう」

この『不協和音でいい』っていうのは、テニプリOVAアノトキノボクラ」内での白石くんの台詞です。「お笑い第一!」という四天宝寺の空気に馴染めなかったクールな財前くんが、「四天宝寺は個性があるから面白いんだ、お前はそのままでいいんだ」って白石くんから言われるんですね。この時はこういうところまで勉強して日替わりに活かしてくる流司くん凄い!って思っただけだったんですけど、更にこの日の終演後アナウンスが白石くんと財前くんで、以下のような会話をしてくれました。またニュアンスです。

白石「財前、落ち込んどるんか?」
財前「別に…」
白石「財前、耳が大きくなるわけn」
財前「もうそれいいっすわ」
白石「そうか…財前、金ちゃんのこと、よろしく頼むな。お前になら次期部長任せられるわ」
財前「…駄目っすか?」
白石「え?」
財前「ずっと白石部長にいてほしいと思ったら、駄目ですか?」
白石「財前…よし、真面目な話するで。あのな、人間の出会いと別れの数は同じやねん。出会いがあれば別れもある」
財前「…」
白石「…でも、財前から教えてもろた不協和音は、絶対忘れへんで」
財前「部長…」
白石「ほら、耳が大きくなるわけn」
財前「それもういいですから」
白石「そうか。ほんなら、焼肉食いに行くか!」

うう、思い出すだけで泣けてきました…。
この後アナの凄いところは、まず幕間に財前くんが「部長は忘れてるかも知れないけど」って言った不協和音の話を、白石くんも覚えててくれてたってことですよね。財前くんはこの一年半で部長から色んなことを教えてもらったけど、白石くんも財前くんから大事なことを教わっていた。

白石くんは、とても真面目な人です。真面目で面白くないから、他の人がやるような派手なぶっ飛びテニヌはやらない。毎日コツコツ努力して、基本に忠実な無駄のないプレイスタイルをモットーにしている人。それこそが勝つための近道だと信じているから、知らない間に他の部員にもそれを求めてしまっていました。それが、四天宝寺っぽくない雰囲気を孕んでいる財前くんに出会ったことによって、間違いだったって気付くんですよね。このOVA自体とても大好きな話です。

で、次に凄いところが、財前くんが次期部長になることに対して不安を抱いてるってとこです。
何度も言ってるように財前くんは「天才」って呼ばれてて、クールで、何でもそつなくこなす子なんですよ。そんな財前くんが、不安を覚えてる。なんでかなって考えると、白石くんの部長期間の話に行き着きます。
実は白石くんは、2年生の時から先輩を差し置いて部長をやっていたんですね。これは監督であるオサムちゃんの計らいなんですが、なぜかというと「白石くんが一番勝ちに拘っていたから」だそうです(これは『ペアプリ』という公式ファンブックに書かれています)。四天宝寺は大阪の学校らしく、楽しく笑いに溢れた個性を重んじるテニスをしますが、それと同時に「勝ったもん勝ち」というスローガンも掲げています。どんなに楽しい雰囲気でも、「勝ちに拘る」ことを忘れない。それが、2年連続全国大会ベスト4まで進めた強さの理由です。
そういうわけで、財前くんは入部当初から「白石くんが部長の」四天宝寺テニス部しか知らないわけです。しかも2年連続で全国大会準決勝まで進んでいる。白石くんはとてもパーフェクトなお人なので、そんな人のあとに部長をやれって言われたら、どんなにクールな財前くんでも不安になって当たり前です。

でも、白石くん(とオサムちゃん)は、財前くんを次期部長に決めました。
何故かというと、これはわたしの妄想なんですが、財前くんが今回の試合で「悔しさ」を覚えたからなんじゃないかなって思うんです。今まで財前くんは部内で「天才」って呼ばれてチヤホヤされてきました。実際に、これまでの公式戦でも勝ってきたんでしょうね。そんな財前くんが、まだまだ上には上がいることを痛感した。自分の弱さを自覚して「悔しい」と思った。「悔しさ」は、「勝ちへの執着」に繋がります。財前くんは四天宝寺の部長の条件「勝ちに拘る」を手に入れたわけです。今回感じた「悔しさ」を忘れない限り、財前くんはもっともっと上に行けるし、来年の四天宝寺ももっともっと強くなれると思います。

冒頭で白石くんが「落ち込んでるんか?」って訊くのも、財前くんが悔しがってることをわかってのことだと思うし、ほんとこの後アナは計算され尽くしてて凄いです。四天宝寺の部長と次期部長の過去と今と未来が全部詰まってる。
これを、大千秋楽日の前日にやるっていうのがまた、ね…。場内のザワザワが凄かったです(笑)。


で、この3月1日の一週間くらい前からかな、ベンチワークに結構大きな変化がありました。
ダブルス2の「不器用っすから」という曲の時に、財前くんが白石くんの隣に座ってふたりで何か耳打ちしてお話するようになったんですね。二人とも微笑んでいて、何を話しているのかは不明なんですが、この二人の雰囲気がすっごーーーーく良かったんですよ!!!
なんていうのかな、財前くんも白石くんに素直に心を開いているように見えたし、白石くんも財前くんのことを信頼してて可愛がってるっていうか、ちゃんと部長と次期部長の関係性に見えてぐっときたんですよね。

これもわたしの妄想なんですが、このベンチワークは白石くん(とオサムちゃん)が財前くんを次期部長に決めたことの現れだったと思うんです。ロックな音楽が鳴ってる後ろでひめやかに行われる部長継承式…。めっちゃときめきました。青学と氷帝の部長継承式は『新テニスの王子様』内で既に行われているので、ミュージカルは準公式ではありますが、こうやって四天宝寺も部長継承式を執り行ってくれたことが嬉しかったです。


さてさて、というわけで、2nd四天宝寺の財前くんは、白石くんに対して割と素直に「デレ」でした。ダブルス2中の日替わりで「毒舌財前くんがみんなにあだ名を付ける」っていうネタでも、「白石部長は…空気清浄機」とか言うし。毒舌じゃないじゃん!!!もう!!!(萌)
ちなみに謙也さんに対しては「道路交通法違反」(足が速いから)と「親の七光り」(親が医者なので)という遠慮のない感じで(笑)、こういう軽口を遠慮なく言えるのは謙也さんの方だと思うんですけどね。それはそれでときめくんだけどさ。
でも何で、財前くんは白石くんに対してこんなに「デレ」なんだろうな~って思ってたんですよ。
そしたら、財前くんを演じた佐藤流司くんのブログに答えがありました。

詳しくは3月4日の流司くんのブログを読んで欲しいんですけど、他の四天メンバーには「恥ずかしいから」ってメッセージを送ってないのに、白石くん役の安西くんにだけ感謝の言葉を書いてるんですね。
これ読んで、財前くんから白石くんへの気持ちって、そのまんま流司くんから安西くんへの気持ちだったんだなぁって気付いたんです。

白石くんと安西くんは、優しくて真面目なところが似てると思います。
白石くんは財前くんと出会う前に部員に自分と同じようなテニスをすることを求めていたけど、それでも厳しく「絶対こうしろ」とは言わなかった。どっちかと言うと、白石くんが真面目にコツコツやる姿を見て周りの部員が自発的についてくるような、そういう部員からの信頼が厚いタイプの人に見えます。
安西くんも、そんな白石くんと同じだったんだと思います。自分からぐいぐいリーダーシップをとるような人ではないけど、真面目に、真摯にひとりひとりと向き合うことができるような。
流司くんはそういう安西くんの姿をちゃんと見てわかっていて、だから安西くんに信頼を寄せていて、それが財前くんのお芝居にも繋がったんじゃないかなって考えました。

2ndテニミュは、青学以外は基本的に1つの役をずっと同じ俳優さんがやり続けることが特徴です。(青学は主役校で出番も多いからか、座長の小越くん以外のメンバーは途中で代替わりがありました)
何年間もずーっとその役と向き合っていかなきゃいけないということなので、演者さんの負担は計り知れないんですが、そういうやり方をすることで、演者の物語とキャラクターの物語が合致しやすくなったんじゃないかなって思うんです。
流司くんと安西くん以外にも、今回の公演では演者とキャラクターの共通点みたいなものを考える機会がとても多かったです。
これは、四天のメンバーがそういう役作りをするタイプの人が多かったからなのか、それとも全氷の時よりもわたし自身がテニミュに対して一歩踏み込んだところまで見ることが出来るようになったからなのかはわからないですが。うーん、でも、青学の子たちに対しても何人かそういう風に考えたので、やっぱり後者かなぁ。小越くんに至っては本人が自らリョーマと自分の融合みたいなことに言及していたし。この辺は次のFINAL立海でも考えていきたいなって思います。


なんにせよ、四天宝寺公演はわたしにテニミュの新しい楽しみ方を教えてくれた公演でした。
キャラクターの「人生」を想像すること、演者とキャラクターの「物語」を感じ取ること。
やっぱりテニミュって楽しいです。


長々と読んでいただき、ありがとうございました!

*1:今回の公演ではいつも2幕が始まる前に四天宝寺の監督オサムちゃん+四天宝寺の誰かでの日替わりネタがありました